エコール
ヴェデキントの小説『ミネハハ』を元にして作られた映画です。
原作とのもっとも大きなちがいは、ひとりの少女を追うのではなく、さまざまな少女に視点を切り替わるところ。
森の中の寄宿学校とおぼわしき場所に住まう少女たちの日々の生活や心の動きを描いています。
ストーリーは、特典映像の劇場予告の「少女たちはどこからきて、どこへゆくのか」に集約されています。
原題のも素敵ですが、ほんとうに学校のことしか描かれていないので、邦題の「École」もとても的確で素敵だと思います。
はじめの印象は、「たくさんの似たお顔の子役、女優さんを用意する予算がなかったのかしら?」というものでした。
しかし、視点の移り変わりにも違和感がなく、また様々な視点が組合わさることで、原作よりも物語を理解しやすく感じました。
少なくとも、お話についていけなくなることはありません。
きれいな、まとまりのある素敵な作品だと思います。
途中、少し不気味であったり、悲しかったりするシーンもありますが、全体としてはそれほど暗い映画ではありません。
むしろ幻想的というのがぴったりなさわやかさです。
しかし、少量ですが血の出るシーンがあるので、苦手な方はご注意を。
「この映画は悪質な児童ポルノである」という意見をよく聞きましたが、全くそのような印象はありません。
少女の体があらわになるカットもありましたが、あまりに淡々と撮られており、嫌らしさは感じませんでした。
女性の方でも安心してご覧になれる映画、というよりも、女性の方にこそ見ていただきたい映画です。